それはほとんど、ひな鳥の刷り込みにも等しく
忘れもしない2013年の5月某日、人生で初めて買った一眼レフカメラこそ、PENTAX K30だった。
新婚旅行の思い出を良いカメラで残したいということで、なんの予備知識も無く当時住んでいた埼玉のエディオンに飛び込んだ。
カメラ売り場に並んでいた、Canon&Nikonの黒くてごっつい、「いかにもー!」って感じのデザインに怯み、
「そういうんじゃないんだよな〜」(※当時の感想です!)
と、やっぱ買うのやめよっかな…それとも奥さんと同じNEX-3にしようかな…いっそコンパクトデジカメでもいいんじゃないかな? とか日和り始めていたところに飛び込んできた、鮮烈なブルー!
スポーティーで、どこか「男の子のオモチャ」然とした佇まいに一発で魅了された。
値札を見ると、手の届く価格。そこから更に…ダブルズームキットだけ20%オフになっていた
すぐ店員さんを呼んで、色々アクセサリーもまとめて買うからもっと安くならんかと価格交渉をした。
…当時の僕の年収は、真っ当な社会人とは到底呼べないような、それはもう目を覆いたくなるほどの惨状だったのだ!
その時も僕の隣でニコニコしていた奥さん…よくもまぁこんな甲斐性無しと結婚してくれる気になったもんだと…ああいや、それは今どうでもよくて。
Kの軌跡
新婚旅行先のイタリアでは、ズームレンズがくるくるできるのだけでもう楽しくて、Pモードしか使わなかった。
ISOだのなんだのはぜーんぶカメラ任せで、RAWなんかも当然なんのこっちゃだ。
撮影できる枚数が増えたほうがいいからとJPGオンリーのMサイズ。
それでも、今でも時々見返すあの時の写真は…なんだか凄く「良い」。
だから僕は、PENTAXのカメラが好きだ。
それから数年後、長男に続いて第二子となる長女の誕生をきっかけに買い換えたのもやっぱりPENTAXだった。
仕事仲間と新宿の日本酒バー? で弱いくせにけっこうやっちゃってだいぶ判断力が欠如した状態だったからというのもあるが、他の選択肢は浮かびもしなかった。
PENTAX K70。家族の思い出をいっぱい撮った。
この頃になると、Avモードで撮ることと、ちょっとだけRAW現像することは覚えていた(笑
その後、以前よりTwitterを眺めてくれている人たちはご存じと思うが、僕はFUJIFILMに浮気する(笑
死んだ親父と、もっと前に死んだお爺ちゃんのオールドレンズたちを引き継いだのを契機に、本格的に写真趣味どっぷりとなり…それでフィルムカメラなんかを始めてしまったもんだから、FUJIFILMのフィルムシミュレーションがそれはもう輝いて見えたのデス。
更にはカメラ自体もどんどんクラシックな方向が好きになっていき、デジタル機としてはその極地とも言えるNikon Dfに手を出す。
それでもなんだかPENTAXで撮った写真が忘れられず、中古のK-S2を購入。
K-S2の写真については、
もうブログの過去記事を見てもらうほうが早いね。
そして…最初にK30を手に入れてからほぼ10年が経とうかという2022年11月、最初に僕を虜にしたあのブルーが、向井理を起用した広告のコピー同様に、
『僕を(沼に)走らせる(た)一眼』
と同じブルーが、帰ってきた。
つーか、帰ってきてしまった。
…帰ってこなきゃ買うこともなかったのに! なんてことしてくれるんだPENTAX!!
The blue K is back!
PENTAX KF
…買うしかねぇだろちくしょう。(K-S2を筆頭に、カメラ関係無い物までだいぶ生け贄は出た)
KF ブルー起動!
しかし、K30→K70→K-S2と来て都合4台目のPENTAXエントリー機になるけど、やっぱり何かこう、Kのエントリー機は男児のマインドをくすぐってくるんだなぁ。心の中に今も住んでいる10歳児の僕が、
「これがいい!」
と目を輝かせてしまう何か…これは、他のメーカーには無い引力だなと思う。
大人の僕は、せめてK3MarkⅢにしとけよ…と訴えるのだけど、結局買わずにこっちに来てしまうのは、価格差が凄いというだけの話ではないはず。
10年前にときめいたあのブルーとまったく変わらない輝きにワクワクしながら、早速ご町内に持ち出した。
smc PENTAX-DA 18-270mm F3.5-6.3
使い心地は、直前に使っていたK-S2とそう大差ない。
と言うか、ほぼK70だ。外装も99.9%同じだし。
ちょっとだけグリップは改良されているように感じた。K70の時の指が窮屈になる感じが若干緩和されている…気がする。
今回は、いわゆる「便利ズーム」であるDA 18-270mmセットにした。
実はK30を使っていた当初、標準ズームと望遠ズームを使い分けるのが面倒になって、TAMRONの便利ズームを買ってイタリアに向かったのだ。
やっぱりあの時の気持ちが再燃してたのかな? 基本単焦点ばかりなので自分でも意外だけど、なんかセットにしてしまった。
久々に使ってみて思ったのは…便利ズームはとても便利だ(笑
スナップにはそんなに持ち歩かないと思うけど、子供たちの学校イベントで活躍してもらうつもり。
smc Takumar 35mm F2
お爺ちゃんの黄変タクマーにも出てきてもらった。
KFのカスタムイメージは、K-S2よりもだいぶ濃いめの味付けな画作りになっていて、ちょっと戸惑う。黄色い。更に黄色いわ。
K70もこうだっただろうか? …いや、あの頃は色々あっても使い道がわからず、わかりやすい「鮮やか」と、これも別の意味でわかりやすい写真になる「銀残し」を使ってただけなのでよくわからない。
思えば、大して機能を使いこなせもしていないくせにX-T30に買い換えちゃったんだな…。申し訳ないことをした。
しかし、FUJIFILMのあの自分でダイヤルをガチャガチャする操作系を使ってみて初めて「ISOとはなんぞや? SSとは?」みたいなことを考えて今に至るので…まぁ他流試合の武者修行みたいなもんだったんだろうと、自分を正当化する!
HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited
高感度耐性チェックも兼ねて、日が暮れてから町内のイルミネーション点灯式を見に行った。
低画素フルサイズのDfだとISO6400余裕と言うか、ノイズの出方がむしろ粒子っぽくて良かったりするけど、KFも3200ぐらいまでは全然頑張れる。
田舎の夜が暗すぎるだけなので、東京出張時には気にせず夜スナップもやれそうで良し。
smc PENTAX-DA 40mm F2.8 XS
曇り空の日、自転車で散歩しながら色々カスタムイメージを変えて更に設定を詰める。
最初は、K-S2そのままの設定を引き継いで撮っていたけど、やっぱり出てくる写真が違うので結局1から考え直すことにした。
Carl Zeiss Jena MC Flektogon 35mm F2.4
個人的にはM42マウントオールドレンズの『皇帝』と呼んでいいと思っているFlektogon。
以前は、ゼブラ柄の中期型でF2.8のモデルを使っていたけど、今回改めてF2.4の最後期タイプを迎え入れてみた。
いや、久しぶりに使ってみてもFlektogonは本当にシビれるレンズだと思う。
『万能単焦点』と言ってもいいんじゃなかろうか。
開けても絞っても、遠景でも寄っても、何してもいい。最高。
ほとんどマクロレンズ並の寄り性能。
そして、ピントが合ってる部分の切れ味たるや…。
後期型はマルチコーティングなので、逆光でもこのとおり、きっちり持ちこたえてくれる。
…ごめん嘘(笑
フレアもゴーストもコントラスト低下もバリバリ出る。
ただ、慣れてくるとこれを「狙って」出せるレンズでもあるので、そういう意味でも楽しい。超楽しい。
今回のお供 …結局、PENTAXなんよ
もうほんと、とりとめも無い、レビューとも作例披露ともつかないダラダラしたブログになっちゃったけど…まぁいいやね。元々、そんなもん期待されていないカメラだと思うし(ひどい)。
ただ、これが好きな人にはこんなにも刺さっちゃうんだよという…そんな魅力というかなんというかが少しでも伝わってくれればいいやという。
で、そういう人の中のさらに1%がうっかり買っちゃったりしたらもうそれで。
Amazonには黒しかない。
魅惑のブルーが欲しければ、メーカー直販へどうぞ。
それぞれ、全世界限定700台しか生産していないはずなのに、青も白もまだ普通に買えるというね。(2022年12月4日現在)
…どんだけ刺さる人少ないんだよという。
いいんだよもう、ここまで来ると持ってる人少なければ少ないほど、「逆張りカッコいい」な中二病マインドが刺激されるから。
みんな黒買え、黒(笑
なんとなく敬遠してたけど、便利ズームは便利だな。
F8ぐらいまで絞ってISO上げてSS稼ぐとか、まあその辺のお作法を覚えたからかな。
いつものお供。
これからもよろしくどうぞ。
黄色いけど、いいレンズ。黄色いけど。
黄色いのを活かしたい。すごい黄色いから。なんかこれは、みんな黄色くなっちゃうみたいね。
35mmあるんだからぶっちゃけいらないと言えばいらなかった…。
しかし、最短18cm(公称は20cm)というマクロレンズ並の寄り性能と写りは他のオールドレンズとは一線を画するものがある。
やっぱ凄いわ。オススメ。文句なしに。
冒頭、KF本体を撮った組み合わせはこちら。