殿堂入りからの後継者問題
お爺ちゃんから受け継いだタクマー軍団が、僕の所で余生を過ごしているのは過去に何度もお伝えしたとおり。
では、その母艦たるカメラは無いのか? と言うと、実はある。
PENTAX SPFのボディもお爺ちゃんの遺品として継承していたのだけど、これはもうずいぶん前にPENTAXのOBの方がやられている某修理店に、
「修理はできるけれども部品のほとんどを他の機体から移植する必要がある」
と言われており、梱包してしまってある。
一度は、部品交換してでも……と思ったのだけど、結局は思い直してやめた。
もしかしたら、実は部品交換しないでも直せる方がいるのかもしれない。
でも、これはもうお爺ちゃんがどれだけこのSPFを徹底的に使い込んできたかという証であるということなので、お爺ちゃんの写真愛に敬意を表してそのまま「殿堂入り」ということにしておくべきだろうと判断した。
その後は、デジタルではK70、K-S2と来て今はKFが母艦の任を担っている。
フィルムのほうは、YASHICA FX3 SUPER2000にY/C→M42変換アダプターを噛ませて使っており、実際これで十分と思っていたんだけど……使うほどに「コレジャナイ」感が高まっていった。
SUPER2000は、決して悪いカメラじゃない。多少チープではあるけれど、1/2000の高速シャッターを積んでいるし、シャッターを半押しすると作動する露出計も正確だ。
それでいてシャッター自体は機械式なので、頑丈。
フィルムカメラの入門機としては、もの凄くお勧めできる。
ただ、マウントアダプターを介してしまうとM42レンズの自動絞りが効かなくなる。
実絞りでファインダーをのぞくと、F5.6から先はもうピント合わせどころじゃないぐらい暗くなってしまうのがどうしても気になってしまう。(いや、開放で合わせてから絞ればいいんだけど…めんどくさいじゃない。フレーミングもズレちゃうしさ)
後継機が必要なのだった。
そんな折、また出張で東京に行く機会があった。
その際、前々からTwitterではやり取りをさせていただいたり、通販でのお取引をしたことはあったのだけど、実際にお店にはうかがったことがなかった新宿の中古カメラ店『諏訪写真機』さんに立ち寄ることができた。
僕が来訪した際には、たまたま他にお客さんがいらっしゃらなかったこともあって、ご店主に暖かくおもてなしいただき、結局2時間近くあれこれとお話しながら居座ってしまった……。
その節はどうもお邪魔いたしました……。
カメラの話、写真の話、あとはお互いに信州に縁があるということでの信州トークなどなど……大変楽しい時間を過ごせた。
初めて行くお店なのに、なんだかもう常連さんになったような気分でね(笑
もちろん、お店の色々なカメラも眺めさせてもらって、ふと目に飛び込んできたのが……この『PENTAX SL』だった。
PENTAX SLがどういうカメラなのかということについては、
かのドクター赤城先生を筆頭に、その道の専門家の方が色々と記しているので、そっちを見てくださいということで。
僕も上記で紹介したようなネット記事を読みあさっては、
「そういうのがあるのかー」
と知識としては知っていた。
特に気に入ったというか、ぐっと来てしまったのが、
- 露出計搭載のSP、SPFから「わざわざ」露出計を外した
- 結果、構造はシンプルの極地
- 故に頑丈。シャッターの耐久力はシリーズ随一とも!?
- 発売当時のキャッチコピーはずばり、「酷使に耐える一眼レフ」
……僕は弱い! こういうのに凄く……もの凄く弱い!!(笑
なので、殿堂入りしたお爺ちゃんのSPFに代わる後継機は、このPENTAX SLしか無いと思い定めていた。
そしたら、そのSLが置いてあるわけで……。
偶然、すべては偶然。
でもそこに勝手に運命を感じちゃうのが、人間。
初めて訪れたお店、そこで過ごした楽しい時間、目に止まった一台のSL。
持たせてもらい、お供に連れてきていたFlektogon(M42マウントだ!)を装着。
シャッターを切ると、なんとも落ち着いていて豊かな響き。
……買うでしょ? いや、買うって。
……買った(笑
というわけで、お爺ちゃんのタクマー軍団をフィルムで使うための真の後継機に巡り会えましたというお話。
今回のお供
撮影はDfとMicro NIKKOR 55/3.5の組み合わせでお送りしました。