
目に来る老化がMへの背を押す
ある日、いつものように手持ちのカメラたちを取っ替え引っ替えしてファインダーをのぞき込み、空シャッターを切って楽しんでいた時のことです。
ふとした違和感を覚えました。
「あれ? なんかファインダーがぼやけているような…」
なぜだろうと考えること十数秒。はたと気付きます。

僕は2011年に初めて自分でカメラを買って以降、いわゆる「視度調整」ダイヤルについてはすべてプラス方向に振り切って使っていました。PENTAXもFUJIFILMもNikonもバルナックライカも…およそ視度調整できるファインダーはすべて目一杯にプラスでした。
小学生の時から今までずっと目の良さには絶対の自信を持っていました。
数値を出す時代の視力検査では常に2.0、数値を出さなくなってからもA判定以外になったことがありません。
そんな僕の目も…ついに…寄る年波に勝てず…。
嫌だ…と思いながら恐る恐るK-1 Mark IIとLeica ⅢCの視度調整を…カメラ歴でおよそ初めて…少しマイナスの方向に振ると……!
「くっきり見える!!」
もの凄くショックでした。
何をその程度でと思われるかもしれませんが…こういう形ではっきりと「お前の視力…落ちてるぞ?」と知らされ、正直うろたえました。

僕の目は…悪くなっている。
そして恐らくこれは、今後更に悪くなることはあるにしろ…良くなることは二度と無い。
そう考えたときに次に脳裏によぎったのは、
「いつまで〝裸眼〟でOVF…光学ファインダーを覗けるんだろう」
ということでした。
自分で言うのもなんですが、僕は相当な光学ファインダー信者です。
ご縁あってGF-10を譲っていただきましたが、その前にはG100Dをかなり真剣に検討していました。
でも、ヨドバシの展示機でEVFを試した瞬間に、
「こんなもん覗くぐらいなら背面液晶のほうが10倍マシ」
と、即座に購入候補から削除されています。

いずれ…近い将来、視度調整ダイヤルはマイナス全振りになり…そしてどこかで『眼鏡』なるものが自分とファインダー様との神聖にして侵すべからざる空間に割って入ってくる時が来る…。
由々しき事態です。
見えるうちに…使わなくていいのか? Mを?
あと10年…は、なんかもう直感的に無理な気がする。
5年なら? ケア次第では何とかなるかもしれない。
僕が僕の目だけで光学ファインダーと対話できる時間は…残り少ないかもしれない。いや、間違いなく少ない。
その残りわずかな時間、
「まぁM型じゃなくても良いカメラはいっぱいあるから」
「日本人だもの。国産の良い物を使ってあげないとね」
なんていう言葉でごまかして、気持ちに蓋をし続ける余裕はあるのか? いや無い!
ならば…今! フィルムと同じです。〝今〟が一番フィルムが安いんです。できるうちに使うしかない。
目だって同じこと。僕の目は…〝今〟が一番若い!
なので!

これが!

こうなって!


それでも、散々に逡巡と葛藤があって!



こうなったわけです!!
いいいやっっほおおおおううう!! 言い訳なげ〜〜〜〜っ!!w
どうしてM5なのか?
…マイナー志向だからです。
他の連中と同じなことが許せない、永遠の中二病だからです。
一番使っている人が少ないM型こそ、僕にとって一番良いM型に決まっているからです。
縦吊りできるんだよ? てか、前期型はむしろ縦吊りしかできないんだよ?
もうそれだけでもM5一択でしょ。だって、他と違うんだもん。
・
・
・
待った! 真面目にちゃんと理由をば。
もちろん、現行のデジタルやMP含めた他のM型と違う形をしているというのは重要…そう、
「他人と違う俺カッコいい」
「あえてM5を選ぶ俺、すごくカッコいい」
というマインドは、とてつもなく重要ではありますが、もう一個の理由としては、光学ファインダー信者であるのと同じくらいのレベルで「Av(絞り優先AE)モード信者」だからでもあります。

2013年に初めてPENTAX K30を購入し、中井精也さんの初心者向け教則本に、
「初めての人はA(Av)モードがいいですよ」
と書いてあったのを頭から信じて以降ずっと、ほぼ絞り優先Aモードだけで撮ってきました。
まぁ色々ご意見はありましょうが、とにかくあれが一番良い。
ボケ量を含めた、今欲しいレンズの描写にだけ集中できますから。
Aモードこそ至高。
僕にとってはフルマニュアルでしか撮れないフィルムカメラの操作方法こそイレギュラーなのです。

なので、フィルムでM型をやるなら一番自分の身に染みついたやり方に近い方法で撮れるやつがいい。
そうなったとき、おのずと候補はM5以降の機種に絞られます。露出計付いてるから。
その中でもM5だけが唯一、「追針式」の露出計を搭載しています。
M5だけが何も考えずに右手の人差し指だけでSSを変更できます。
先に絞りだけをレンズで決めておき、あとは巻き上げてファインダーを覗いた瞬間に左手でピントを合わせて右手で露出計の針がクロスするところまでSSダイヤルを回せばいいだけの方法は、限りなく体に染みついたAモード撮影に近い方法と言えます。
シャッタースピードの数字なんか読まなくていいんです。

巻く。
見る。
二重像と針を合わせる。
撮る。
終わり!
目が劣化していくスピードに負けないよう、1カットでも多くM型のファインダーと対話するにはこの方法がベスト。
故に、M5なのです。
疑似Avモードの〝速さ〟
何カットかやってみて、この選択が正しかったことを確信しました。
実際には厳密に針が中央でクロスすることなんかほとんど無く、上か下か半段程度はズレるんですが…そこはもうネガフィルムなのでお構いなしです。



キレッキレのファインダーと、秋葉原のパーツ屋で新品のCDSを購入して交換したという露出計のおかげでズバズバとシャッターが切れます。
本当のAvモードが使えるF801に迫る速度です。うん…別の意味でやばい。


暗けりゃ開ける。
明るければ絞る。
それだけの話。
レンジファインダーは、1/15秒までは基本止められることを体感で知っているので何ひとつ迷うことはありません。



写真を見ていただければわかるように、早田カメラさんで整備された露出計の精度は完璧です。この露出計が生み出す〝速さ〟なくして、目の劣化と戦うことはできません。
もちろん高い買い物になるので、最初は少しでも安く…とオークションや他の中古店もチェックしましたが、どこも露出計については保証外なのが常。
早田さんで買ったのは間違いなく「唯一の正解」だったと思います。






露出計が信用できなかったら、このシチュエーションで迷いなく切れますか?
切れないですよ。
だから、
「技術には金を払え」
は、我が家の家訓になるんです。
…と、ちょっと大げさにアピールしてみる。
よろしくM型ライフ

とまあ、そんなわけで…身も蓋もなく締めると、
「最終的にはそうなるというところに行き着きましたよ」
という話でした。




今の視力が続く限りはそのままで、もし悪くなったらしょうがない…視度補正ファインダー買ってギリギリまで頑張ります。








「Xデー」が訪れるその時が、一日でも遅いことを祈りつつ…。
これからよろしくお願いします、M5さん。
……みんな、もう一回言っておくぞ?
「目は〝今〟が一番いいんだ」
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・
ファインダーがどでかい中判使えばいいじゃん?
それを言ったらおしまいでしょうがw
今回のお供
ブロニカで使って大変良かったKENTMERE PAN 400を長巻で買いました。
『ISO400を考える会』、推奨品w
絶対に本体は、信用できるお店で買おうw
ボディはライカ。
レンズは…NIKKORってのがまた、
「他と違う俺カッコいい」
を存分に演出できていいんだよ〜w
「ズミクロン? …ああ〜、いらないいらない。俺にはこいつがあるからね」
…なんて、わーカーッコイイ〜ww


