500円だった
大昔の標準ズームレンズ、SMC PENTAX-F ZOOM 35-75mm F3.5-4.5。
いかにも80年代〜という、この主張のあるオレンジ文字よ。
ボディはマウント部以外は全部プラ。
全身から当時としても廉価なレンズだったんだろうなーという雰囲気が漂っている。
…だが、それがいい!
共感してくれる人はほとんどいねーだろうなと思いつつ語ると、Jリミ01の男児向け玩具じみたゴテゴテボディーに、やはりどこかアニメチックなレンズのデザインが実に合う。
ボディーもレンズも、まがうことなきPENTAX。現実のカメラメーカー純正品にも関わらず、80年代〜90年代前半に近未来を描いたSFアニメか何かでサブキャラのジャーナリストが持ってそうな、うそっこカメラの佇まいである。
いい…とてもいい。
それでいて、お値段は大昔のキットレンズにありがちなワンコイン。
送料のほうが100円も高かったw
写りはいかに?
もう外見だけでも大満足なのだけど、写りのほうもこれがなかなか。
適度に緩く、適度に締まる。
AFも満足いくスピード。
少なくとも、2010年代製のDA18-270より10倍はいい。それもどうなのか。
ギュン! ギュン! と力強い駆動音と共にさっと合焦してくれる、なかなか頼もしいヤツではないか。
僕は、ギュンギュン唸る昔のAFレンズの音が大好物なのだ。
超音波だかステッピングだか知らんけど、全然駆動音がせずにいつの間にか合焦している最近のAFレンズはどうにも機械が頑張ってるぞって感じがしなくて物足りなかったり。
いや、凄い技術なのはわかってるんだけどね。
その点においてもPENTAXは、最新のHD FAレンズでもぎゅいんぎゅいんと鳴ってくれるやつが多くて最高だね。
僕はずっと単焦点好きを公言しているけど、最近お散歩中にもうちょっと横着したいなーということが多くなってきた。
ただでさえ横着な写真しか撮ってないのにまだ横着したりないのかというツッコミはさておき…。
そこに来て、この気取らないワンコイン標準ズーム。
35mm-70mmの2倍までで、何ひとつ欲張っていないこの感じがすっかり気に入っちゃった。
しかも、テレ端からの簡易マクロ搭載で思いのほか寄れちゃったりなんかして。
とどめは開放F値だ。
F3.5。
これもちょいちょい触れているけど、開放F3.5程度のいわゆるスロウレンズはこれまた僕の大好物。
ばっちばちのポートレートなんてまず撮らないので、こんなもんで十分なのよね。
仮にお子様たちやおかあちゃんが主題の写真を撮ったとしても、背景に何があるのかわかる程度のボケ具合のほうが、
「ああ、こんな場所でこんなことがあったな」
と思い返す記録写真としては都合が良いまである。
開放の描写が緩い?
その点については、この記事でも書いている。
「F5.6とF8だけで何の問題があろうか」
何の問題も無い。
…どころか、AF-NIKKOR 35-70と比較したら開放はこっちのほうがいいんじゃなかろうか?
さすが、お値段5倍なだけのことはある!(NIKKORは100円ジャンクだったw)
良い良い。
実に良い。
引いて、詰めて、自由自在じゃないか。
そして、寄れる。
マクロに切り替えて寄りきれば、ここまでボケる。
言うこと無しよ。
とりとめも無いものを、とりとめも無く撮るのにこんなにいいレンズは無いなと思う。
何においても無理はしたくない僕の信条に寄り添ってくれるのは、大体こういう「もう顧みられない何か」だったりするんだよなぁ。
今回のお供